CASE 02

誰もが笑顔で働き続ける
ことのできる企業へ

大塚製薬株式会社
(写真右より)

広報部 推進リーダー
(兼)ダイバーシティ推進プロジェクト

中島玲子

人事部 部長補佐
(兼)ダイバーシティ推進プロジェクトリーダー
(兼)健康管理室室長

田中静江

医薬品事業部 医薬品企画グループ
事業計画担当 マネージャー
(兼)ダイバーシティ推進プロジェクト

柿崎桃子

ニュートラシューティカルズ事業部
ソーシャルヘルス・リレーション部 次長
(兼)ダイバーシティ推進プロジェクト

田中明余

「ポカリスエット」「カロリーメイト」「ソイジョイ」など、誰もが知る製品を多く世に送り出すと共に、医薬品の研究開発で医療業界にも貢献し続けてきた大塚製薬株式会社。同社はダイバーシティの概念が浸透していなかった1980年代から女性の活躍推進に取り組んできた。マイノリティも含め誰もが働きやすい職場こそ誰もが輝くことのできる企業であり、真に革新的な製品開発につながると考えてきたからだ。ダイバーシティ推進プロジェクトメンバーの4人に話を伺った。

1980年代から女性の活躍推進に取り組んできた

日常生活から医療まで幅広く私たちの健康づくりに貢献している大塚製薬株式会社。ダイバーシティに関しては御社ではどのように推進されてきたのでしょうか?

田中静江<以下、田中(静) 当社は世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造することを理念としております。多様性を受け入れそれぞれの強みを活かすことが企業の存続と発展につながると考え、ダイバーシティに関しては早くから意識してきました。
 特に女性の活躍推進についてはまだダイバーシティが世の中に浸透していなかった1980年代から取り組んできました。1990年には女性のためのフォーラムをいち早く開催し、管理職と女性本人の意識改革に取り組みました。もちろんダイバーシティは女性だけのためのものではありませんが、当時はまだマイノリティだった女性が活躍できる環境を作ることが、全ての人に働きやすい環境につながると考えていたのです。
 上層部の理解は進んでいましたが、女性の社会進出が進むにつれて様々な課題も発生してきました。結婚や出産による退職などです。そこで2006年にプレのプロジェクトが立ち上がり、翌年、正式にダイバーシティ推進プロジェクトが発足。私は当時からの唯一のメンバーです。

中島玲子(以下、中島) メリハリのある働き方やインフラ面の整備も意識してきました。女性を特別厚遇したわけではなく、育児中のシフト勤務や時短勤務などキャリア継続のための制度を整えてきた形です。結婚後も仕事を続けられるよう、結婚の際、一定の成果を出している社員に関しては定期異動先を考慮するような取り組みも。おかげで、医薬品営業職にあたるMRの既婚女性の割合は大塚製薬全女性MR数に対して、2007年には1.9%だったのが2018年には32.7%、さらに出産後も働き続けている割合は2007年の1.4%から2018年には21.0%と、一定の効果は出ている状態です。

メンバーそれぞれの強み・経験を活かす

現在のメンバーはどのように集まったのですか?

田中(静) 全社を巻き込んで進めていくにあたっては事業部の垣根を越えたメンバーを揃える必要があると考え、3名を指名しました。田中は消費者製品を提供するニュートラシューティカルズ事業部、柿崎は医療用医薬品を提供する医薬品事業部。社内外に活動をアピールすることを考えると広報部の力も必要だと思い、中島を迎えました。子育て経験、女性支店長経験、海外赴任経験など、みんなそれぞれ多様な経験を積んでいるところが強みです。メンバー全員が他の業務との兼任です。

プロジェクトへの意気込みをそれぞれお聞かせください。

田中明余<以下、田中(明) 私、以前は「ダイバーシティ」という言葉が大っ嫌いで(笑)。8年前に千葉支店の支店長をさせて頂いた経験がありますが、自分が支店長に選ばれたのも実力じゃなくてダイバーシティ推進のため、女性活躍推進のためでしょと思っていましたから。でも今は社会的にも、ダイバーシティに対するとらえ方が、女性に関することだけでなく、広義に理解されるようになってきていることから、育児に積極的に関わりたい男性や介護をする人、LGBTなど、幅広く取組むことができればと思います。
 私が支店長をしていた支店でも、営業職の男性で初の育児のための時短勤務を申請した社員がいました。その頃はまだ周りの理解が進んでおらずやりくりで苦労した面もありました。これからは、制度をもっと活用しやすい環境となるよう、社員同士の理解が進み、お互い様の気持ちで協力しあえる環境になっていくといいなと。

柿崎桃子(以下、柿崎) 以前の部署では、上司がイギリス人でしたし、海外の子会社に出向していた際は、直属の上司はもちろん日本人ではありませんでした。また、働き方も日本の大塚製薬と比べて様々でした。幸運にもこの様な多様性の高い環境でお仕事をさせて頂いたので、これらの経験がプロジェクトを進めるうえでの一助になれるといいなと思って取り組んでいます。

中島 プロジェクト推進にあたってのダイバーシティ関連の認定・資格申請業務や資料作成のお手伝いはこれまでもずっと行なってきたので、より深くプロジェクトに関わることを前向きに捉えていました。取り組みは社内外にきちんと伝わらないと意味がありませんから、広報として力になれることがあると思っています。

現在のメンバーになってから最も大きなイベントとして、今年の夏に〝イクボス〟講演会を実施したそうですね。

田中(静) イクボスとは、部下・組織・社会を育て、自らも仕事と仕事以外の時間で、自分育てができるボスのこと。実はこの講演会は私の念願で。というのも、最近の若手男性社員には育児をしたいと思っている人がたくさんいるのです。でもそれを上司に言いにくいという声が多く、リーダー層への働きかけが必要だなと。
 そのような私の要望に対して、ファザーリングジャパンの川島高之さんによるイクボス講演という形にしてくださったのはグローシップのみなさんです。綺麗事だけではリーダー層も心の底から納得してはくれない。どのような切り口と話の組み立て方をすれば受け入れてもらいやすいかなどを、何度かの打ち合わせを通じてベストな形に整えてくださいました。イクボスになることが企業の成長につながるのだとの切り口で話していただいたことで、うまく伝わったように思います。また、今回はテレビ中継を通じて全国の約600人のリーダー層、さらにグループ企業の社員にも参加してもらえたので、大規模かつ意義のあるイベントになったと思います。

田中(明) ダイバーシティやイクボスと言うと「それがどう業績につながるのか」と心の中で思う人もまだ多い。ダイバーシティが浸透することで全ての人が笑顔で働けるようになり、それが業績アップにつながるのだと理解してもらうことはとても大切。その意味でも今回のイベントはとても価値があったと思います。

社員の声を拾い、制度にプラスアルファしていく

イクボス講演会を始め、様々な取り組みの中で社内の変化は見られていますか?

田中(静) 講演会の後のアンケートでは「会議のやり方を変えたい」「部下へのコミュニケーションの取り方を工夫しようと思う」など好意的で前向きな声がたくさん上がってきました。とはいえ一度講演会をしたきりでは忘れられてしまうので、再確認のためのアンケートを数ヶ月後に実施したり、根付く施策をしようと考えているところです。

田中(明) 以前、妊娠・出産・育児に関する情報共有の場となる「Otsuka Women’s Workshop」に参加した社員からは「横のつながりができた」との声も聞きました。身近にロールモデルがいない社員も多いので、ワークショップをきっかけに活用できる制度を知ったり相談できる仲間ができたりしているのはプロジェクトの一つの成果だと思いますね。

中島 制度面も少しずつ変わっています。自主勉強会「WING」の場で、不妊や更年期障害の治療のための休みを取りやすくして欲しいとの声があがってきたのをきっかけに制度の追加も行いました。在宅勤務に関しても以前は週に1回誰でも在宅勤務ができるという内容でしたが、今年から新たに「妊娠や育児、介護をする人を対象に、原則1年間の期間、月に1回程度の出社を条件に在宅勤務ができる」という「ファミリースマイルサポート制度」を新設。既に二人ほど実際に取得しています。

リーダーの意識が変わり、現場が声をあげることでダイバーシティが浸透していくのですね。最後に、今後への思いを聞かせてください。

柿崎 多様な働き方への理解が進み様々な制度ができたとしても、それで成果が下がってしまったら意味はありません。上司も部下も「働く時間や場所にとらわれずに成果を出すことが重要」ということを理解しその成果が明確になることが必要かもしれません。でもこれを浸透させるのはかなり時間がかかりそうなので…もっと実現容易なものとしては「ファミリーデー」を実施したいと考えています。

田中(静) 成果の測り方という観点では人事部も取り組むべき課題かもしれません。ファミリーデーはぜひ実現したいですね。

中島 ダイバーシティを推進していくうえでは私たち4人だけでなく協力者がもっと必要。まだまだやるべきことはたくさんあると感じつつ、何から手をつければ良いのか、どう結果を出していけば良いのか、そして何を目指してどこまでやれば「やった」と言えるのか。課題もやりがいもたくさんですね。

田中(静) 一企業だけで進めていくのには限界があります。社会全体が変わる必要もある。2015年に弊社が加盟した『イクボス企業同盟』には大手企業もたくさん名を連ねています。政府の働き方改革とも相まって一つの大きな流れになりつつあるように感じます。私たちもその一助になりたいと思っています。

  • Corporate profile

    大塚製薬株式会社

    東京本部:〒108-8242東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー(受付:12階)TEL.03-6717-1400(代表)
    https://www.otsuka.co.jp/
    https://www.otsuka.co.jp/csr/employees/diversity/ 
    1964年創業。「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」との理念のもと、疾病の診断から治療までを担う医療関連事業と、日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業の両輪で事業を展開。世界中の人々の健康に欠かせないトータルヘルスケアカンパニーを目指す。

  • PROFILE

    中島玲子(なかじま・れいこ)
    消費者製品の販売促進担当として入社。その後、製品プロダクトマネージャーとしていくつかの製品を担当したのち、医薬品や化粧品等のリスク管理担当部署に異動。現在は広報部に在籍。ダイバーシティ推進プロジェクトに2019年から参加。

  • PROFILE

    田中静江(たなか・しずえ)
    MR(医薬情報担当者)として入社後、病院、開業医等の営業を7年半担当し、その後人事部へ異動。以降、労務・健康管理等担当し、ダイバーシティ推進プロジェクトは2007年より兼務。

  • PROFILE

    柿崎桃子(かきざき・ももこ)
    新薬開発本部にCRA(臨床開発モニター)として入社、CRA、モニタリング責任者として日本国内試験、アジア試験を6年担当。その後医薬品事業企画部へ移動し、アメリカの開発子会社に3年間出向。新薬開発本部でプロジェクトマネージメントを2年担当し、現在医薬品事業部 医薬品企画グループにて事業計画を担当。ダイバーシティ推進プロジェクトには2016年から参加。

  • PROFILE

    田中明余(たなか・あきよ)
    入社後、千葉支店船橋出張所に配属。カロリーメイトやネイチャーメイドなどを中心とした栄養製品の営業を経て、その後製品部に異動し、製品担当アシスタントを務める。その後販売促進担当や営業担当など経験し、現在はソーシャルヘルス・リレーション部に所属。ダイバーシティ推進プロジェクトには2017年から参加。

実績とお客様の声一覧